無限/夢幻の箱庭 別館

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音楽の中の寓意~マーラーの誕生日寄せて

トロンボーンは今でこそ普通に楽曲の編成に入れられるようになったが、200年前は取り上げるのに使用条件の様なものがあった。

「神の楽器」と呼ばれていたこの金管楽器は宗教音楽に頻繁に利用されて世俗音楽では使用を憚れられていた。
 

 

世俗音楽として使われるようになっても暫くはその性格が反映されていた。
例えばベートーヴェン=交響曲第5番では第3楽章の終止音からそのまま切れ目なくクレッシェンドしていき華やかなハ長調の和音で始まるが、抑圧的な第1・3楽章から大きく華やかな音楽異なる。「苦悩を突き抜けて歓喜へ」という言葉そのもので、それこそ神が導いたとして編成に入れたと考えてもいい。
 
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今日はマーラーの誕生日ということで、交響曲第6番イ短調を題材に楽器に込めた寓意について書いていく。
 
彼の楽曲の楽器編成は古今の作曲家に比べてもかなり大きいものだが、第6番ではかなりの数の打楽器が取り上げられている。
 
ティンパニ2人、これは他の彼の楽曲でもよく使われるのだが…
グロッケンシュピール、ムチ(ちょうつがいの板通しを叩きつけて鋭い音を出すもの、細い棒・枝を束ねたものの2種類両方)、カウベルハンマーシロフォンシンバル、トライアングルバスドラム、スネアドラム、銅鑼、スレイベル(そりの鈴)、ウッドクラッパー(振るとかたかた音の出る木のおもちゃ)とパーカッション奏者が3~4人ほど必要になる。
 
リズムを作るものは行進曲風の箇所に使われるが、特に第4楽章においては大きな打撃の後の混乱に向かうための行進となる。
そして大きな打撃はハンマーによって表せられる。
次の動画を見て頂きたい。

 
これを使わなくても音の進行によって表情の変化がわかるのだが、ハンマーを使うことによってより衝撃的にしかも視覚的に表示させられる。
聴覚よりも視覚で受け取る情報量が多いだけに楽器やその扱い方は威圧的な存在感を出す。
 
演奏会で聴くとより大きな効果があることがわかる。
舞台や客席に振動を与えるのだ。直接聴衆に音楽を訴えかけるのである。
初演では3箇所でハンマーが打たれたが、マーラーは2回(動画では3:06、7:51)と変えたりして様々な研究の結果国際マーラー協会による決定稿では2回と定められた。
その2回目で文字通り打ち砕かれる。
 
順序は逆になってアンダンテではカウベルが牧歌的な雰囲気を強調し鐘で遠近感が出て、地に足がついていないような不安定さの演出に一役買っている。
 
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先ずは全曲、そして出来れば、演奏頻度は低くチケットも売れて早くに売り切れになってしまうこともあるが、演奏会に出向いて聞いて欲しい。

 

 マーラー(1860-1911)/Berstein’s Mahler

 

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